「 鼻 」

笑竹音歌 様・作













例えば、集団で寝泊りする家の場合・・・・・
朝起きて顔に落書きがしてあった、などということはまぁありえる話である。

だが、もし、朝起きて鼻に異物の存在を感じられたら・・・?

これは、そんなありえない人たちの物語である・・・



どたどたどたどたどたどたどたどた・・・ずでっ・・・・・
「うおォォォォォォォォォォォォォォッッ!!!!」
悲鳴をあげながら洗面所からすっとんできたルパン。
その悲鳴と、足を踏まれた痛さで、爆睡していた次元が飛び起きる。
「何、何だ!?敵襲か!?」
次元はあたふたする手でマグナムを構え、床に伏せた。
しかし、敵の姿は見つからない。大騒ぎする相棒だけが、そこにいた。
「・・・・この迷惑!!俺はまだ寝てたかったのに!!」
が、ルパンは聞いていない様子。次元はもう一度大声で呼んだ。
「おいルパンっ!!」
「ドワァァァァァァァ・・・・・」
それでも気づかない。
「ルパンッッッ!!!!」
「あんぎゃャァァァァァァ・・・・・」
そのとき、次元の血液中に含まれる0.4ヒゲグロビンが大量に増殖、
ついに次元は大爆発を起こした!いや、次元の怒りが爆発したのであるが。
これにはさすがのルパンも気がついた。
「え?何?オレ呼んだの??」
「そうだ!」次元はまだマグマを噴出している。
ごめんごめん、ルパンは鼻をかいた・・・
「!!!!!!」
急に何かを思い出したような息をつき、彼はバッッと手で顔を覆った。
それを次元が不思議そうに見つめる。一拍間があって、ルパンがぼそりといった。
「・・・次元、オレの顔、変だった?」
「はァ・・・・?別に・・・そういやさっきの悲鳴といい、何かあったのか?」
ハァ―――――――――ッ・・という、深く長いため息。
指の間から片目だけ覗かせ、ルパンは続けた。
「・・・・絶対笑わない、と約束しろ・・・・」
鋭い。鋭いまなざしでこちらをじっと睨んでいる。
「ホント、絶対だぞ・・・」
「ああ、わかった。わかったから・・・見せてみろ。」
「笑ったら・・・一生口きいてやんねぇからな・・・」
再度、むはぁ―――――――――ッッとため息をつくと、
ルパンはそろりそろりとその指を離していった。


「あら、めずらしく一人?五右ェ門vv」
不二子がアジトを訪ねてきた。(今日の服は一段と派手だ!)
五右ェ門はソファーの上でぽつんと座禅を組んでいる。
「いや、あやつらがまだおきてこないだけだ・・・・」
五右ェ門は寝室のほうを指した。
「まっ・・今日はデートの約束してたのに・・・ルパンったら!!!」
「ルパンが女との約束を忘れるとは・・・・・」
不二子はぷんすかしながら寝室へ向かい、ドアを・・・
いや、ドアは不二子が触るよりも先に開いた。
そして、ほぼ同時に青ざめたブロッコリーのような次元がころがり出てきた。
「イヤァァ―――――――――ッ!!!!」
絶叫。そして後ずさり。
「どうした、不二子殿・・・ッ!!!」
悲鳴に駆けつけた五右ェ門も、変わり果てた仲間の姿に絶句する。
「これは一体・・・・!?」
「・・・まさか・・・ルパンはっ!?」
不二子は部屋に飛び込もうとした・・・・
だが、背後に何かの存在を感じ、ぞっとしてふり返る。
「・・ふ・・・・・ふ・・じ・・こぉ・・・」
次元だ。ブロッコリー次元が懸命に何かをうったえている。
「・・い、いくな・・・・・し・・ぬ・・・」
声はかすれかすれにしか出ず、
もはや何を言っているのかすら理解できなくなっていた。
ただ、「笑い死にしたい・・・」と言うのだけ読み取れた。
「何があったんだ・・・・話せるか?」
次元はありったけの声を絞り出して答える。
「・・・・は・・・・な・・・」
「はな?はながどうしたの!?」
「つ・・・・・つまって・・・・」
五右ェ門は考えた―――
(はな・・・つまる・・・はな・つまる・・・はなつまる・・・
 鼻つまる・・鼻がつまる・・・鼻が詰まる・・・死ぬ・・・)
「何!?鼻が詰まって死ぬ!?お主大丈夫か!?」
五右ェ門はすばやくティッシュ箱を持ってきて、次元の鼻へぐりぐりとねじ込んだ。
「落ち着いて五右ェ門!つめたら余計苦しいわ!!」
「そ、そうかッ。すまん、次元・・・ついうっかり・・・」
今ごろ気づいても遅いが、とりあえずつめかけのティッシュは取り除く。
青かった次元の顔が、さらに青くなっていく。ブロッコリーがキャベツに変わった瞬間である。
「とにかく、もう次元はだめだわ・・・・ルパンにききましょう。」
「うむ。それが良かろう・・・」
二人は頷き、ドアへ目をやった。が、ドアは閉まっていた。
先ほど見たときには開いていたのに・・・・・今はカギまで閉まっている。
「おかしいわね・・・ルパンかしら?」
コンコン、コンコン、とノックをしてみる。
すると、なんとも繋がらない返事が返ってきた。
「・・・よし、次元に見せたから、もう恥ずかしくないぞ。」
不二子が首をかしげる。続いて五右ェ門も。
「何が?・・・ルパン、次元が大変なのよ。」
「おうおう、でもおかげでオレは勇気が出た。」
「いや、一人で納得してないで、拙者たちにも説明しろ。」
イラついた口調の五右ェ門。斬鉄剣をカチカチいわせているのを見る限り、
彼はルパンごとドアを斬り倒してしまいたいらしい。
そんな五右ェ門の殺気を悟ったのか、ルパンは慌てて答える。
「わかったっ・・・今お前らにも見せるから・・・きっと謎が解けるぜ。」
カギがガチャリと音を立ててはずれ、そして運命のドアが開いた・・・
昇る朝日がさんさんとルパンを照らし、部屋にはあふれんばかりに光が輝いている・・・・
「・・・・・・神だ・・・・」
薄れゆく意識の中、次元はつぶやいた。
「ま、まぶしい・・!」不二子は目を細めた。それでもまぶしい。
「でも、だんだんなれてきぞ・・・ほら・・・・」
そして、二人は彼に『何』が起きたかを、しかとその目に焼きつけることとなる。

「ぬけないんだよ。」

彼の両鼻に、10円玉がはまっていた。
現日本硬貨の中でも2番目に大きなその玉が、
縦に、きっちりと。



そして、間もなく男女二人の悲鳴にも近い笑い声があがるだろう。

同情、衝撃、挫折・・・そして、悲劇の想いを込めた笑いが・・・・




  (未)完。















































(キャベツ次元は思い出した。)



(そういえば昨日、王様ゲームやってたんだっけ)


(かなり酔っ払いながら・・・・)


(3番のヤローは鼻に10円を詰めやがれ!!ってなぁ・・・)


(王様どぁ〜れだ!?)


(たぶん、俺だよ。俺・・・)




(ごめんよ、ルパン・・・)





(・・・・・でも、黙っとこう。)

  

  完。










ひ〜っっっ!!!おなかが痛い〜。
く・・・く・・・くるしい・・・た・・・たすけて・・・(ブロッコリー2号)

も〜、マジで人目を構わず大声で笑ってしまいましたよ〜っっっ。
いや笑いすぎて涙で途中から文字が読めなくなっちゃったくらい・・・(笑)
いいわ〜っ。ちょっと笑竹さん、0.4ヒゲグロビンって何さっ!!!
ティッシュ詰めてる五右衛門がまたナイスすぎ!!
理屈ぬきに面白いっ!!!え?言わなくても読めばわかるって?ごもっとも!!

ちょっとこれ、誰かアニメ化してくれ!!!(爆)
そんなにルパンのファンじゃない友達にも見せたんだけど、めぇっちゃウケまくり。
私も読むたびに笑いがこみ上げてきて、ちょっとまた涙がちょちょぎれそう(笑)
っつうか、既にボーっとしてるとこの話を思い出してニヤニヤしてる自分がいるのさっ!!(怖っ)

決めました。笑竹さんのファンクラブを発足いたします(笑)
はいっ!!挙手!!私ファン1号〜っっっ!!!いぇぇぇぇいっっっ!!(をい)
いやもう、ちょっとすごいっす。
久しぶりに腹のそこから大声で笑ったって感じっすよ(←寂しい青春おくってんだな、カンダ・・・)

ちなみに、最初いただいたときのタイトルはズバリ「鼻から10円」だったんですが、
オチがわからないように「鼻」に改めさせていただきました。
快諾してくださった笑竹さんの心の広さに感謝!!

笑竹さん、本当にありがとうございました〜っっ!!!

SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO