〜いつの日か きっと〜

SHANE様・作









数ヶ月、追っていた難解事件にケリをつけることができた。
ハネを伸ばす高見たち。

(高見)「んじゃーさ、久々に打ち上げと行きましょうかねっ」
(工藤)「賛成〜〜!」
(秋本)「どこ行きますかぁ?」
(たまき)「まぁた飲み過ぎないでくださいよ、高見さんっ」

と、まぁ、万事この調子で騒いでいる刑事たち。

(高見)「西崎〜お前はどこがいいんだ?」

ふ、と声をかけられ一瞬驚く。

(西崎)「あ・・・俺は、遠慮しておきます」

その答えを聞いて高見が膨れる。

(高見)「お前さ〜何でいつもそうなワケ?たまには付き合ってくれたっていいじゃんかよ・・」
(西崎)「そんな、事件が解決するたびに打ち上げなんてやってたらキリがないでしょう」

そう、少し荒い口調で言い放つと、席を立って部屋を出ていった。

(高見)「お、おいおい・・・」

その後ろ姿に声をかける高見。

(たまき)「西崎さん、どうかしたんでしょうか?何か様子変じゃありませんでした?」
(秋本)「いつも冷めてるやつだけどさ、何か変だったよな。。。」

たまきと秋本、それに工藤も頷きで答える。

(高見)「・・・・今日子さんとケンカでもしたか?」
(工藤)「まさか〜あの西崎さんですよぉ〜?今日子さんだってそんな人じゃないし・・・」

少しの間考えを巡らすと

(高見)「しょうがねぇヤツだな・・・」

と、西崎の出て行った後を追った。



・・・・・・何を苛立ってんだ、俺・・・・あんなこと言うつもりじゃなかったんだけどな・・・


西崎は、レインボーブリッジに夕陽が沈んでいくのを何ともなしに見遣りながら一つため息をついた。
この場所は西崎が一番好きな場所。
夕陽が沈んでいく時間帯が一番好きだ。
辺り一面がオレンジ色に染まり、落ち着きを与えてくれる。
一瞬でも、事件のことを忘れさせてくれる場所だったからだ。


・・・・・・何であの人はあんなにも素直に感情に出せるんだろう・・・・・・
って・・単に俺が不器用なだけか・・


自問自答の末、一度コクンと頷くとまたため息をつく。
近くのビルの時計が5時の鐘を奏でる。


「やべ・・・仕事戻らないと・・・」


西崎が振り向こうとしたのと、


「だぁれぇだぁぁぁぁ」


と後ろから目隠しをされるのが同時で西崎は“仮面”をかぶる暇がなかった。


「うっ・・・わ!ちょ、た、高見さんっ?!」


予想以上に反応する西崎に高見が笑った。


「驚いたか?いや、でもいつも冷静沈着な西崎くんともあろうお人がそんなリアクションをするとはねぇ〜」


ひょいっと覗き込んだ西崎の顔はもう、いつもの“仮面”をかぶった西崎だった。
冷静沈着・頭脳明晰。
その功績は本庁捜査一課も欲しているほどのもの。
が・・高見はその中にある“本当の西崎”を見てみたかった。

「チェッ・・・チャンス逃しちゃったじゃねぇか・・」


ポツリ、と呟いた高見に、西崎は無言で目を向ける。


「どうしたんだよ。・・何かあったのか?」


高見は懐からタバコを取り出すと火をつけた。


「・・・別に」

「別に、ってこたねぇだろう?みんな、どうしたんだろうって心配してたんだぞ」

「心配されるようなことはしてません」

「何で、そう一人殻かぶっちまうんだよ?あ、わかったぞ。今日子さんとケンカでもしたのか?」

「・・・っ!!からかってるんですか?ケンカなんてしてません」

「じゃあ、なんなんだよ」


少しずつ崩れてくる西崎の表情がおかしくて笑いをこらえながら高見が先を促した。
ここらが限度か、と西崎は再び息をつくと近くのベンチに腰を下ろした。

「どうして・・・あなたはそうやって素直に感情を出せるんですか?」
「んあ?・・・何だよ、いきなり」

高見が白い煙を吐き出すと西崎の隣に腰を下ろす。

「そりゃ、俺だって事件が解決すれば喜ぶし・・楽しいことがあればそれなりに嬉しいですよ。
 ・・・でも、あなたのように笑えない・・・・・小さな頃から、心から笑ったこと・・あまりないんじゃ
 ないかって・・」
「?????」
「だから、あなたに・・・嫉妬していたのかも知れません・・認めたくはありませんが」

そう言って苦笑すると今しも沈みきろうとする夕陽に目を細める。
何を思ったか、高見は手を伸ばすと西崎の頭をポンポンと軽く叩く。
その仕草にビクッとなった西崎が

「ななな・・・何なんですか?!」

と思わず立ち上がる。

「いやぁ・・何か嬉しくなっちゃってさ」
「は?何が・・・?」
「だってさ、いっつもクールでおすまし仮面かぶちゃってるお前が実はそんなこと考えてたなんて思ったらさ。
 ・・・お前の、抱えてる過去の傷は俺も知ってる・・お前はそのつもりはなくてもどこかでくっついてきてる
 過去なんてあんまり考えないでさ、もっと力抜いてみろよ。
 忘れろ、とは言わない。でも、大切にしたい人がいる今・・前むいて歩いていけばいいじゃねぇかよ。
 そうすれば、必ず笑える日が来る。・・・心からさ・・・」

高見が優しい目を西崎に向ける。
しばらくの間無言だった西崎はクスッと苦笑を漏らし、俯いた。

「?なんだよ」
「いえ・・・やっぱりあなたには叶わないなと思って・・・。仕事、戻りましょうか」

と、腰を上げる西崎。

「そうだな」

と高見も腰を上げ

「いや、今日の所はもうあがれ。今んとこ、急ぎの書類もないんだろ?たまにはゆっくり、さ・・。
  打ち上げはまた今度にして、今日は俺がお前の分までやっておくから」

そういう高見に怪訝そうな表情を見せる西崎。
高見が目で一方を指す。

そこには手を振って走ってくる雄人と、その後ろから歩いてくる今日子がいた。

「西崎さあーん!」
「こんばんは」
「こんばんは」

西崎が少し戸惑った笑みを返す。

「ね、西崎さん。もうお仕事終わったんでしょ?夕飯一緒に食べようよ」
「雄人、無理言っちゃダメよ。すみません、行くってきかないモノだから・・」

すまなさそうに言う今日子に高見が首を振った。

「いやあ、いいのいいの。もうね、今日はあがるとこだったから」
「高見さん・・」

何か言いかける西崎を制して、

「雄人君、今日の夕飯何だ?」
「今日はね、お母さん特製のシチューだよ。すっごく美味しいんだ!」
「おおっ!!いいねぇ〜ほら、西崎、事件も一段落ついたんだしさ、こんなお誘い断る理由はねぇだろ。
  行って来いってよ」

高見に押し出され、

「じゃあ・・・後のこと、お願いします」

素直に答える西崎。
そんな西崎に嬉しそうに微笑む雄人と今日子。

まだ、少し淋しそうな笑顔がいつの日かきっと心からの笑顔に変わるようにと高見は
3人の後ろ姿を見ながら思っていた・・・・・。










まさか憧れのSHANEさんからSSをいただけるとは!!!(大感激)
嬉しすぎて涙が・・・。うぅっ!

しかも、もう今日子さんというフレーズでお分かりでしょうが、P2の中盤あたりが背景ですっ☆
私、P2あたりの西崎さんって、めっちゃ好きなんですよ〜。
周りに甘えることに微妙な戸惑いを感じながら、高見兵吾と行動を共にすることでちょっとずつ変わっていくんですよね〜。
言ってみれば、炎と氷みたいな対照的な人間がちょっとずつ歩み寄っていく感じなんですが、
とにかくあのクールな仮面の下に隠してる脆くて不器用な素顔が、すごく好きなんですよ。

そ、そんな西崎さんをまさか再び・・・いや、それ以上の作品となってSHANEさんのSSで拝めるとは!
感無量でございます〜っ!!!
自分の全てをさらけ出すのを恐れつつ、ポツポツと兵吾くんに自分の気持ちを吐露する姿が最高です(涙)
何度も何度も読み返しちゃいました。
二人の会話にも、素直に感動いたしました。
P6もこんな二人を見たかった!!!

しかも秋もっちゃんも出てきてるし☆(←これ、かなりポイント(笑))
いやぁ、ほんっとうにSHANEさんの作品に憧れまくってたんで、すごく嬉しかったです〜。
SHANEさん、ありがとうございました!!!大感謝v

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