■あらすじ■
ルパンは世界宝石フェアに出展される宝石の保管場所、ロサンゼ
ルスのナショナル銀行を狙う。だが、五右ヱ門は心眼が開かれる
時までと修行の旅に出てしまった。
不二子によれば、ハリー・ザトラーという男もナショナル銀行を
狙っているらしい。彼こそ、かつてマシンガン・ハリーと恐れら
れた男だった。
ルパンと次元はハリーを偵察するため、彼の経営する牧場へと
足を運ぶ。ところがそこにいたハリーに、かつて恐れられていた
男の面影は一切なかった。
ハリーは次元の挑発にも気付かない程にもうろくした、ただの
農夫になってしまっていた。
一方その頃、五右ヱ門は盲目の少女メリーと出会う。
彼女は五右ヱ門を天使だと信じ込んでしまった。
しかしメリーこそハリーの娘だった。
彼はメリーの目の治療費を手に入れるため、ナショナル銀行を
襲撃するつもりだったのだ。
ハリーはもうろくしてなどいなかった。
その頃ルパンは、地下にトンネルを掘ってナショナル銀行の大金
庫に潜入していた。
ところが、まんまと宝石を手にしたその瞬間！
大金庫の壁が爆発した。現れたのはバズーカを持ったハリー。
ルパンと次元は宝石を持ってヘリで脱出する。が、ハリーは容赦
なく地対空ミサイルでルパンのヘリを撃墜し、機関銃やらバズー
カやらで執拗に追い回す。
そして再びルパンに狙いを定めた、その時だった。
ハリーの持つ照準器の向こうに天使が舞い降りた。
そして、ハリーの撃ったバズーカ砲を真っ二つに・・・。
驚いたハリーは自らの手榴弾を投げそこねる。
激しい爆発音が砂漠に鳴り響いた・・・。
次の日、手術室へ運ばれるメリー。その傍らにハリーの姿はない。
代わりに、廊下の片隅には五右ヱ門の姿があった。
五右ヱ門は手術の成功を見守ると、メリーに会うこともなく静か
に病院を後にするのだった。
■見どころ■
１００回記念に一般から公募したストーリーを案に作られた作品
のうちの４本目。
ポイント１：ジェニーなとっつぁん
「ジェニー警部」「ジェニーじゃない、ワシは銭形警部だ」
とっつぁんは新ルではちょくちょくよく名前を間違えられて
いるが、“ジェニー警部”とはちょっとカッコイイぞ？
ポイント２：二枚目になりきれない五右ヱ門
太刀先の見切りが甘くなったといい、剣を振る五右ヱ門。
鉄筋を切り刻んで「五ヱ門」と文字を描くあたりが渋い。
が、この後、木の上からリンゴが落ちて頭にゴツン！
五右ヱ門の「痛っ」の声がなんとも情けない（苦笑）。
こういうところが良くも悪くも“新ル”らしい。
ポイント３：純粋なメリー
目の見えないメリーは五右ヱ門を天使だと勘違いしてしまう
のだが、ここの五右ヱ門の着物の袖を触って「羽をたたんで
いる」というセリフにハッとさせられる。
これが普通の少女が言ったセリフなら感動はしないが、目が
見えないメリーのセリフだからこそ素直に「なんてステキな
想像力なんだろう」と感心させられる。
ポイント４：ベルモンドなルパン
「今夜はアランドロンとデートなの」という不二子に
「バーロっ！こっちはベルモンドだ！」とルパン。
山田さんの吹き替えた映画俳優と言えば、イーストウッドや
ベルモンド。これは本当に気の利いたアドリブで、ファンと
しては嬉しくて思わずニヤリとさせられてしまう。
ポイント５：エアウルフなハリー・ザトラー
ハリーの乗るヘリはエアウルフならぬエアシャーク！と思った
のは私だけ？
この他にもこの回はレッドアイ（地低空ミサイル）やら
バズーカやら、次から次へと兵器が飛び出す。
ところで、ハリーと決闘する前にルパンが盗んだ宝石を一つ
だけ、ハリーにヘリから投げてやるシーンがある。
「よくやったよ兵隊さん」といった旨のセリフを言いながら。
ここはちょっとルパンらしくない言動だと思うのだが・・・。
また、終盤やや理解し辛い点（強引に見える点）もあるが、
それは私の見方が甘いだけかも･･･ゴニョゴニョ；
ただ、ラストでハリーの生死を明確にせず視聴者の想像に任
せた点は好感が持てる。
手術室の前でじっとメリーの手術を待つ五右ヱ門の表情も、
ハリーが死んだという前提で見るのと、ハリーは生きている
という前提で見るのではまた違った感想になってくるように
思われる。
■データ■
<放送日>
1979年10月1日放送
<スタッフ>
原案／藤木敬三
脚本／大和屋竺
絵コンテ／石原泰三
演出／三家本泰美
作画監督／北原健雄、朝倉隆
<キャスト>
木村幌、横沢哲子、徳丸完、井上和彦
■プチ用語■
「達人、天才！♪現在、過去、未来を通じて一番手♪
五右ヱ門を褒めるルパンのセリフ。♪現在、過去、未来♪
の部分は渡辺真知子の「迷い道」から。
オープニングとエンディング
第３バージョンのオープニング、エンディングのステレオ
版は９９話とこの話のみ。
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