■あらすじ■
今回ルパンたちは慰安旅行と洒落込んでいた。ルパンは温泉で杯を
掲げ、次元は草原でワイングラス片手にクラシック音楽に耳を
傾ける。
さて五右ヱ門はというと、相変わらず剣技の修行に励んでいた。
鋼を仕込んだ藁たばを斬る五右ヱ門。
と、そこにえ浜中奈美という一人の少女が現れる。
彼女の祖父は刀鍛治師で、斬鉄剣を超える刀を作ることだけを夢見
ていた。そんな祖父の願いをかなえてあげたい奈美は、何とかして
五右ヱ門の斬鉄剣の秘密をさぐろうと努力する。
そんな中、降りしきる雪の中で瞑想する五右ヱ門を観察していた
奈美と祖父は、とあることに気付く。雪が斬鉄剣の上にだけ積もっ
ていないのだ。
斬鉄剣の表面温度が異常に高いことを察した祖父は、斬鉄剣の温度
を知りたがる。その夜、五右ヱ門の寝室に忍び込んだ奈美は、わざ
と五右ヱ門を怒らせ、斬鉄剣を抜かせた。そしてその温度を自らの
肌で感じ取るのだった。
さっそく祖父のもとへ帰った奈美は、祖父とともに必死に刀を打ち、
その度に温度を確認するといった作業を繰り返した。
が、何度作っても斬鉄剣を超える刀ができない。
しかも余命いくばくもない老体は見る見るうちに衰えていくばかり。
翌朝、鋼を仕込んだ藁たばを斬り、修行に励む五右ヱ門。そこへ
再び奈美が現れる。
その時だ。藁たばの変わりに斬鉄剣が折れたのだ。
驚愕する五右ヱ門。
藁たばの中から出てきたのは、奈美の祖父が打った刀が・・・。
その様子を見てようやく念願がかなったと、老人は奈美の腕の中で
静かに息を引き取った。
しかし実は斬鉄剣は折れてなどいなかった。
一部始終を見ていたルパンがこっそり、夜中に斬鉄剣と老人の刀を
すり替えておいたのだった。
■見どころ■
こちらも原作ネタ。五右ヱ門はこの回も「俺」自称。
ポイント1:三人三様
ルパンたちの慰安旅行、それぞれの楽しみ方が面白い。
温泉でへべれけルパンはまるでサル。
そうかと思えばだだっ広い草原にテーブルと椅子を出して
ワインを楽しむのは次元。ラジオからはクラシックを流し、
テーブルの上には一輪のバラ、
そして気障なセリフ。一方五右ヱ門は・・・やっぱり修行。
この辺、3人の個性を表している。
ちなみにこの時、不二子は長パイプをたしなみ中。
不二子は煙草よりも長パイプの方がお洒落でよく似合う。
ポイント2:ヒロイン
霧多布高校2年、浜中ナミ。
この子がまた感心するくらい優しい。おじいちゃん思いの
いい子。
■データ■
<放送日>
1979年11月5日放送
<スタッフ>
脚本/岡本一郎
絵コンテ/御厨恭輔
演出/御厨恭輔
作画監督/北原健雄、児玉兼嗣
<キャスト>
槐柳二、岡真佐子
■プチ用語■
「五右ェ門流し」「五右ェ門星」
それぞれ原作「新ルパン三世」50話、および51話。
この回に相当するエピソード。
斬鉄剣の秘密
表面温度が異常に高いということがこの話で判明。
銭形の英語
冒頭で、銭形は「traveling」という英単語も分からなかった。
「オレたちの休暇に乾杯」
北海道の霧多布へ従業員慰安旅行に出かけたルパン、次元、
五右ヱ門。「今日のラジオが伝えるところによれば、シドニー
は早春、アムステルダムは晩秋、モスコーはすでに冬か。
だけど、こいつさえあればオレの心はいつも夏・・・。
オレたちの休暇に乾杯!」
「俺は一編の詩を書く代わりに、薔薇の花の芯に眠る小さな
テントウムシを観察・・・テントウムシに乾杯。」
とワインを傾ける次元のロマンチックな名セリフ。
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