■あらすじ■
温泉でしばし体を休める五右ヱ門のもとに刺客が現れた。
殺し屋ナンバーワンの座を狙う男ウルフと、その愛人ローズだ。
翌朝、ふんどしと斬鉄剣を残して五右ヱ門がいなくなってしまっ
たことを知ると、ルパンと次元は五右ヱ門の捜索に出かける。
そのころ五右ヱ門は、ローズの激しい拷問を受けていた。
何とか五右ヱ門の口からルパンの弱点を聞き出そうとするローズ。
しかし五右ヱ門は頑なに口を割ろうとしない。それを見ていた
ウルフは、五右ヱ門にヘッドフォンをかけると自分のギターを
大音量で聞かせ、容赦なく責め立てるのだった。
ルパンは五右ヱ門をさらった敵の目的は自分であると確信すると、
自らのアジトを派手に宣伝し、敵を誘い込む作戦に出る。
その夜、アジトに不二子がやってきた。大喜びで不二子に迫る
ルパン。
この不二子こそローズの変装だった。ルパンを仕留め損ねたロー
ズは、ルパンに発信機を付けられたことも気付かず、ウルフの
元へと帰っていく。
そして、ルパンが駆けつけることを察したウルフは五右ヱ門を
殺そうとする。
が、ルパンの方が早かった。密かに潜入していたルパンによって、
五右ヱ門の拘束は解かれる。
両手両足ともにボロボロになっても仲間を裏切ろうとしなかった
五右ヱ門の姿を見て、ルパンはバカ野郎と抱きしめるのだった。
なおもルパンを狙って機関銃を手にするウルフ。
しかし、その勝負を買って出たのはルパンではなく五右ヱ門。
フラフラになりながらも、ウルフとケリをつけようと立ち上がる
五右ヱ門。
渾身の力を振り絞り、五右ヱ門は使えぬ両手の代わりに斬鉄剣を
口にくわえ、ウルフの心臓に斬鉄剣をつきたてた。
一足遅く戻ってきたローズは、ウルフの死を知るや、自ら命を
絶ち、ウルフの傍らに崩れ落ちたのだった。
■見どころ■
いろんな意味で五右ヱ門ファンには伝説の一本でしょう。
これも原作ネタ。実はこの話の原作からして骨抜きになるほど
好きな作品だったりします。
五右ヱ門は言うまでもなくかっこいいし、3人の絆を見せ付け
てくれる傑作。中でもボロボロの五右ヱ門をギュッと抱きしめ
るシーンは筆舌に尽くしがたいくらい。
ルパンが珍しく殺気を隠さず「ねずみ・・・」と凄むあの
1コマは、ルパンの本質を垣間見た気分にさせられます。
原作を通してもあそこまで殺気立った表情のルパンっていうの
は他にないですよね。
ポイント1:YMCA
後半の五右ヱ門の拷問シーンのインパクトが強くて“シリ
アスな作品”という印象が強いが、前半はかなりおふざけ
が多い。いや、ふざけているわけではないのだが・・・
意図的ではないから余計に吹き出してしまう。
とりあえず温泉で歌う、ちょっとオンチな五右ヱ門は必見。
「あそれワーイエムシエ。あそれワーイエムシエ」って
五右ヱ門!!!!(笑)
ポイント2:オモチャその1
そうかと思えば、五右ヱ門が温泉ならルパンは風呂で不二
子人形と戯れ中。
「今ごろ五右ヱ門はフリチンだな」と笑うルパンもスッポン
ポン。「お茶の間の皆さんに失礼だと思わんか?」とは
次元。「テヘッ」と苦笑いするルパンもおかしいが、茶の
間を意識している次元の発言もおかしい。
ちなみにこの回のルパンのパンツはピンクに白地のハート柄。
ポイント3:置き土産
はたまた、アジトに攻めてきたとっつぁんに
「次元、あれ用意してくれや」「あいよ」とツーカーのコン
ビネーションを見せてくれるルパンと次元。
<あれ>で分かってしまうこの見事な息の合い様に嬉しく
させられたかと思えば、とっつぁんへの置き土産(テープ)
のセリフでまたまた吹き出しそうになったり。
ポイント4:オモチャその2
そしてとっつぁんから逃げた直後、ルパンは船で脱出した
ように見せかけて、操縦席に「日本製のおもちゃ」(ダミ
ー人形)を置くのだが・・・
ウルフ&ローズに撃たれたダミー人形の反応(まるでカエ
ル)が、一連の可笑しさにトドメを刺してくれる。
「運転手がやられちまったぞ」
「しかし反応をもっとリアルにつくらなきゃなぁ」とは
二人の会話。
しかもポイントはその後に続く、ルパンと次元の暢気な
やりとり。
「名前売りすぎると長生きできねぇぞ」
「誰にも狙われなくなったら落ち目ってやつよ」
「大した自信だな」
そう!この自信家!!命を狙われてるというのにこの余裕!
ポイント5:やっぱり主役は五右ヱ門
笑える笑えると言いつつ、しかしやっぱりそこはシリアスな
作品。五右ヱ門は始終カッコイイ。
特にウルフとローズの拷問にも屈しない五右ヱ門の粋な
セリフ。
「たわけ。ルパンを倒せる者はいない。」
「ルパンに弱点などない」
「もしあったとしても、拙者がお前などに教えると思ったか」
「あんたにとって最後のチャンスだ。今なら殺れる。
だが、このもし鎖が外された時、お前の命はない」
「仲間を売るようなマネをするくらいなら喜んで死ぬ」
真っ直ぐすぎるくらいの信念には痺れてしまう。
ポイント6:原作で好きなシーンはアニメでも最高のシーン
ボロボロの五右ヱ門を抱きしめて、「バカ野郎」と頭を
優しくなでるルパン。ここは最高の見せ場。
■データ■
<放送日>
1979年12月3日放送
<スタッフ>
脚本/金子裕
絵コンテ/石黒昇
演出/石黒昇
作画監督/北原健雄、朝倉隆
<キャスト>
坂口芳貞、一城みゆ稀
■プチ用語■
「盗怪道五十三次」
原作「新ルパン三世」32話。この回に相当するエピソード。
YMCA
五右ヱ門が温泉で唄っていた歌は、西城秀樹の「YOUNG MAN」。
ルパンの弱点
ウルフ&ローズに最後までルパンの弱点を吐かなかった五右ヱ
門。ラストでは「毛が3本少ないこと」だと言っていた。
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