■あらすじ■
歌舞伎鑑賞に来たルパンたち。忠臣蔵の舞台に五右ヱ門は一人感動
して涙を流している。一方のルパンは忠臣蔵など全く興味なし。
あまりの退屈さに途中で退出したところ、ロビーで吉良上野介と
いう老人と出会った。ウマがあった二人はいつの間にか意気投合。
そしてルパンは、吉良にとある依頼を受けることになる。
今は警察署となっている本所松坂町吉良邸跡から上野介の財宝を
掘り出して欲しいという。契約金は国宝級の勾玉だ。
しかし他のメンバーは吉良が幽霊だと気付き、気が気でない。
一方そのころ、警視庁の廊下ではいつまで経ってもルパンを逮捕
できないことを責められた浅野警視総監が、大臣相手に一騒動起
こしていた。
総監のクビが決まったと知った銭形は奮起。
総監の仇討ちを、と全国の警官を召集していた。
作戦名は「忠臣蔵」だ。
しかし集結した警官も曲者揃い。
拳銃をぶっ放ちたいだけの本所署の堀部安部衛はいきなりルパン
を襲撃に行ってしまう。
怒る銭形をなだめたのは、計算高い大阪花月署の早野寛平。
早野の計算通り、ルパンは堀部を難なく片付けると堀部に変装し
て本所署に潜入してきた。
その様子を固唾を飲んで見守る銭形と平野は、今まさに舞台は
忠臣蔵というノリで討ち入りを開始する。
ところがルパンには吉良という強い味方がいた。
吉良と清水一角の幽霊の前には銭形らもたじたじ。
吉良のお陰で銭形らから逃げたルパンはようやくお宝を手に入れ
る。しかしいざ箱を開けて出てきたものは・・・なんと入れ歯。
これがないと不便と、入れ歯をはめて吉良はニッコリ。入れ歯を
手に入れるや成仏して消えてしまうのだった。
■見どころ■
ポイント1:五右ヱ門と歌舞伎
この回が放送されたのはちょうど年末だったということで、
モチーフは「忠臣蔵」。
歌舞伎を見て感動する五右ヱ門・・・ルパンは退屈して退場。
せんべいをバリボリ食べながら「どこが面白いんだ」と不満げ
な様子。
「燃えよ残鉄剣」の冒頭でも、歌舞伎に興じる五右ヱ門を尻目
にゲーセンで遊ぶルパンというシーンが登場。
ポイント2:ルパンと幽霊
今回ピックアップしたシーン(絵参照↑)はキラ(幽霊)とな
ごんじゃってるルパン。ここでもやっぱりルパンは神や心霊現
象は信じないタイプとして描かれている。
それに比べて対照的なのが次元、五右ヱ門、不二子の怯え様。
食卓に突然、契約金を渡しに現れたキラにギョッとする3人と
きたら!次元、不二子の顎の外れっぷりが妙に可笑しい。
ポイント3:時代と流行
「フィーバー」だの「ヤングな」だの、今でこそ恥ずかしくな
るような死語連発なツッパリ刑事。
そもそもツッパリそのものが死語では?しかし当時はこれが
“ナウ”だった。
なんてったってこの翌年には「なめ猫」が一世を風靡するよう
な年代。
ポイント4:歌舞伎と・・・カリブ!?
日本を舞台に、しかも歌舞伎というコテコテな和文化をベー
スにしていたのにラストでいきなり「カリブで泳がない?」と
いう可笑しな展開に。
ルパンの華麗なる飛び込みシーンも、カッコつけてるのだろう
が、見ているこっちはBGMと相まってラストのルパンのセリ
フが可笑しくてたまらない。
■データ■
<放送日>
1979年12月10日放送
<スタッフ>
脚本/大久保昌一良
絵コンテ/石原泰三
演出/三家本泰美
作画監督/北原健雄、朝倉隆
<キャスト>
北川国彦、矢田耕司、槐柳二、安原義人、八代駿
■プチ用語■
幽霊
107話でルパンは指輪の呪いをなかなか信じなかったが、今回
は最後まで吉良上野介が幽霊であることを信じない。
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