■あらすじ■
とある研究室の一角で、世界的権威のネッスル博士が奇妙な薬を
作り出した。これこそが何でも透視してしまう超透視目薬。
この目薬を依頼したのは、ノヴァという娘。ノヴァはイエスキリ
ストを裏切ったユダの子孫だった。
彼女の目的は、キリストの描いた絵「最初の晩餐」を透視するこ
と。キリストは聖母マリアの遺産のありかをこの絵に隠していた。
しかし彼女の持っていたのは絵の半分。
残り半分はかつてルパン一世に盗まれたという経緯がある。
そこでノヴァは絵の残り半分を手に入れるべく、行動を開始した。
まず銭形にラブレターを出し、二人の愛のためにと銭形にルパン
逮捕をけしかける。ノヴァから超透視目薬を借りた銭形の執拗な
追跡に、いよいよ追い詰められたルパンは奇岩城へと逃げ込む。
これもノヴァの計算のうち。奇岩城にこそ、ルパン一世が盗んだ
絵の半分があるのだ。
そして、追い詰められたルパンは必ずこの奇岩城に逃げ込むと読
んでいたのだ。
しかしこの一部始終を見ていたのが不二子。
不二子はルパンになぜ追われる羽目になったのかを教える。
それを聞いたルパンは反撃開始。
列車に銭形らを誘い込むと、超透視目薬を逆に利用する手に出た。
不二子を透視した警官らがヌードに見惚れている間にノヴァの持
っていた半分の絵と超透視霊薬を盗み出す。
そして、氷で線路を作るという奇抜なアイディアで証拠も残さず
鮮やかに逃走。
一連の銭形の不甲斐なさにノヴァも愛想を尽かしてしまった。
さて、「最初の晩餐」に隠された遺品を掘り当てたルパンらも
呆気。なんと出てきたのはキリストが使っていた哺乳瓶だった。
■見どころ■
ルパンのアジト“奇岩城”が登場。「アルセーヌ・リュパン」
では有名なキーワード。
ポイント1:メロドラマ?
あれほど浮いた話よりもルパン逮捕に生きてきたとっつぁんが、
どうしたことかこの回は「らしく」ないくらいに軟派に描かれ
ている。
「ルパン、キサマとワシの男のドラマは今日で終わり。
来週からルパン三世はメロドラマとしてこのワシが愛に生き
る主人公となることが決まったのだ」
とは、とっつぁんのセリフ。信じがたい!!さらに、
「あの星をエンゲージリングにしたいというのなら、今すぐに
でもこの拳銃で打ち落としてプレゼントいたしますです」
なんて意外にもロマンチストな一面を見られるシーンも。
それだけ一心不乱に愛を語っていただけに、ラスト、フラれる
とっつぁんはあまりにも哀れ。
しかし、とっつぁんが主人公のメロドラマ・・・
どんな作品になっていたのか、それはそれで興味深い気もする。
ポイント2:大胆奇抜な発想
車にヘリに海中に列車にと、今回のルパンは実に縦横無尽に
逃げ回る。水と液化窒素で線路を作ってしまうなんてところ
も大胆で気持ちいい。
ここでの次元と五右ヱ門の連係プレイの手際よさも見所の一つ。
■データ■
<放送日>
1979年12月17日放送
<スタッフ>
脚本/宮田雪
絵コンテ/山田勝久
演出/御厨恭輔
作画監督/北原健雄、児玉兼嗣
<キャスト>
田村錦人、弥永和子、上田敏也、牛山茂
■プチ用語■
奇岩城
ルパンの秘密のアジト。これを一世が使っていた秘密の隠れ家
だと言っている。奇岩城は、モーリス・ルブランの『アルセー
ヌ・ルパン』シリーズの代表作にも登場する。
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