■あらすじ■
国際親善のためモナリザがアラブに貸し出されることになった。
モナリザの搬入されるオリエンタル美術館には厳重な警備シス
テム。行きと帰りで歩くコースが少しでも違うと落とし穴に落
とされるというそのシステムに、これならルパンが来ても大丈
夫だと銭形も満足顔。
その夜、女型飛行船に乗って美術館へ乗り込んだルパン。
警備システムのコントロール・ルームを占拠した次元が、ルパン
に歩くコースを指示する。ルパンは見事モナリザを盗み出すこと
に成功。
そこへ駆けつけた銭形も、催眠ガスの前には打つ手なし。
呆気なくルパンたちに逃げられてしまった。
大喜びでアジトに帰ったルパンたち。
ところがよく見るとこのモナリザはよくできたニセ物だった。
一方そのころ、銭形はルーブル美術館の管理責任者であるフェイ
カー教授に、モナリザが盗まれたことを報告していた。
ところがフェイカー教授は怒るどころか微笑みさえ浮かべ、別に
構わないという。フェイカー教授こそ、モナリザをニセ物とすり
替えた男だったのだ。
それに気付いたルパンは、再びルーブル美術館に忍び込むと、本
物のモナリザを渡すようフェイカー教授に詰め寄る。
しかしフェイカー教授はルパンを見てなおも涼しい顔。
自室へとルパンを案内する。と、そこにあったのは数え切れない
ほどのモナリザの絵。
モナリザの美しさに魅了されたフェイカー教授は、一生を美の探
究に捧げたという。そして、贋作を作り続けるうちに、当の本人
でさえどれが本物のモナリザだったか判らなくなってしまったと
いうのだ。
驚くルパン。
翌日、ルパンは次元らと再びフェイカー教授の部屋を訪れる。
どれが本物だと聞く不二子にルパンは「全部本物だ」。
フェイカー教授の執念に敬意を表し、その場を後にするのだった。
■見どころ■
今度の警備装置は、床の侵入感知パネルが時間ごとにパターンが
変わる・・・ってオーシャンズ11でもそんなのがあったような?
ところでモナリザの絵って、どの角度から見てもこっちを向いてい
るように見えるのは私だけ?
ポイント1:五右ヱ門のタイプの女性?
モナリザを絶賛したところ、不二子にマザコンと言われて激怒
する五右ヱ門。
今回の五右ヱ門は些細なことでムキになったり、どことなく
大人気なかったりとイイ意味で微笑ましい。
ルパンとのジャンケンシーンでも、
「グーを出すとちゃんと教えてやっただろ」
「と見せかけて実はチョキ、またそのウラをかいてパー。
裏の裏をかいたのに!」
と言いながらワナワナ震える五右ヱ門がなんとも可笑しい。
ジャンケンに勝って、モナリザちゃんとキス権ゲット!と
喜ぶルパンと、汚らわしいっと目をそむける五右ヱ門。
くだらないことで意地になってる二人がおかしくて大好きな
シーン。
ポイント2:思わず彼の名を・・・
モナリザを盗みだすと予告したルパン。張り込む警官隊のもと
に現れたのは、とてつもなく不気味で巨大な女体の風船。
そして、その口からデロ〜〜〜ン出てくるルパンたち。
「うわっ!ムッシュダレ!!」あまりのシュールさに“風見鶏
ルパン”のムッシュダレを思い出してしまうシーン。
しかし、なんであんなシュール(芸術的?)な登場の仕方をし
たのやら?
ポイント3:「全部ホンモノだぜ」
モナリザの魅力に取り付かれて、大量にモナリザを描いている
うちにどれが本物かわからなくなってしまったというフェイ
カー。
ラスト、モナリザに囲まれて、額縁の中でフェイカーが静かに
微笑むシーンの余韻が素晴らしい。
モナリザと一体になって、まるでフェイカーそのものが絵にな
ってしまっている。フェイカーの男の執念を認めて、「全部
ホンモノ」というルパンのセリフは敬意を表した最高の褒め
言葉。洒落た作品である。
■データ■
<放送日>
1979年12月24日放送
<スタッフ>
脚本/金子裕
絵コンテ/佐々木正広
演出/三家本泰美
作画監督/北原健雄、児玉兼嗣
<キャスト>
青木恭介、佐久間功、塚田正昭、笹岡繁蔵
■プチ用語■
「お主のような性悪女にモナリザの良さが分かってたまるか」
モナリザにご執心の五右ヱ門に対して、不二子はマザコンでは
ないかと疑う。それに対して五右ヱ門のセリフ。
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