Review & Memo


新ルパン三世
155話 『さらば愛しきルパンよ』
 




■あらすじ■

1981年、東京の街に1体のロボットが飛来した。
ロボットは宝石店に乱入。胸から触手のように伸ばした手で根こ
そぎ宝石を強奪。駆けつけた警官隊も、ロボットの鉄をも溶断す
るレーザー光線や特殊音波の前にはなす術もなし。
ようやく飛び去ったロボットがその場に残したものは、ルパンの
カード。

犯人はルパンだったのだ。

ニュースでルパンのメッセージが流れる。
「ロボット兵は人類のためにならネェんだ。それを判ってもらう
 ために俺がロボット兵を使うことにしたワケ」。

人々がざわめく中、銭形が静かに動き出した―――。


再びロボット兵が新宿に姿を現す。
待ち構えるは戦車隊。
「撃つな!民間人がいるんだぞ!!」銭形の制止も虚しく、飛び
交う砲弾に街は大パニック。
そして砲弾がビルの看板に命中。下には人々が!しかし、その
あわやのピンチを救ったのはあのロボット兵だった。
その身を盾にし、看板から人々を守ったロボット兵。
このままでは民間人を巻き込んでしまう・・・

そう判断したのか、突如、ロボット兵は高円寺方面に逃走を始め
る。そして警官隊の追跡を逃れ、「葉桜」の広告塔の中へと逃げ
込んだ。
間もなく広告塔の反対側から飛び立つロボット兵。
それがロボット兵の形をしたダミー風船だとも知らずに・・・。

ニセモノとは知らず追いかけていく警官隊ら。
しかしただ一人、銭形は飛び立ったロボット兵を見て足を止める
のだった。そして、広告塔をにらみつけたかと思うと、一気に
バイクで駆け上がる。

と、そこには案の定、ロボット兵の姿が!

だがその瞬間、何者かに後頭部を殴打され、意識を失ってしまう
のだった。



銭形が目を覚ますと、一人の少女がコーヒーを持って現れた。
少女の名は小山田マキ。ロボット兵のパイロットだ。
立ち去ろうとするマキを銭形がにらみつける。
「昼間の騒ぎで何人殺した!!」
その言葉を聞き、マキは突然泣き崩れた。

やがて彼女は語りだした。

マキの父、小山田博士はロボット研究しか頭にない学者だった。
開発資金に行き詰って、ナガタ重工との提携に飛びついたが、
ナガタ重工の目的はロボットの軍事使用だったのだ。
殺人兵器としての使用をやめさせたい、それがマキの真意。
そして、その意を買って出たのが・・・ルパンだったのだ。

ところが、現れたルパンを見て銭形は大笑い。
「ルパンがこんなマヌケな顔してるか」
そう、ルパンはニセモノだった。
次元も五右ェ門も、皆ニセモノだったのだ。
彼らこそ、実はナガタ重工の手先。
ロボット兵「ラムダ」の威力を世界に宣伝するために芝居を
うって、マキをだましていたのだ。

全てを知られた以上、生かしておくわけにはいかない―――
偽ルパンは銭形を縛り上げ、広告塔に爆弾を仕掛ける。
そしてマキを縄で縛り、ロボット兵の中に押し込められた。
今までの事件を全て、マキに押し付けて逃げる魂胆なのだ。

身動きの取れないマキを乗せたロボット兵が、ゆっくりと東京の
夜空へ飛び立つ。

ロボット兵の、逃げ場のない最後のフライトが始まった。



一方銭形も、窮地に立たされていた。
刻一刻と、時限爆弾のタイムリミットが迫る。
顔をゆがめて指の関節を外そうとする銭形。
何とかして縄を解かねば!!間に合うのか・・・っ!!

爆発する広告塔。



銭形は生きていた。
間一髪で縄から抜け出した銭形は、燃えさかる広告塔を走り
ぬける。そして大空にダイブし、飛び立つロボット兵に飛び
乗った。


ハッチを開け、閉じ込められていたマキを救出する銭形。
と、そこで顔を上げたマキの目の前にいたのは本物のルパン
だった。実は今までの銭形こそ、本物のルパンだったのだ。
優しく笑うルパン。
「後始末に行こうか」「はい!」




ルパンはロボット兵を操作し地下鉄南北線を飛行し、東京の
夜の街を迷走。
その模様を追った臨時ニュースがブラウン管に流れる。
それを見て慌てたのはナガタ重工に逃げ込んだ偽ルパンたち。
ありったけの盗んだ金をアタッシュケースに詰めて、大急ぎで
逃げ出そうとする。

しかしその目の前に、ルパンとマキが現れた。

「仮装行列は終わりにしようぜ」

偽ルパンの前にすごむルパン。こんな雑魚にワルサーは不要だ。
一瞬の隙をついて靴を飛ばし、偽ルパンをノックアウト。
偽次元の前には本物の次元が下り立つ。
偽五右ェ門の前にも本物の五右ヱ門が登場する。
しょせんニセモノは形だけ、本物相手にかなうはずもない。
一連の真相をTVカメラでリポートするのは、TVクルーに
変装した不二子だ。

そして、マキは新型ロボット兵シグマに、研究所を自爆させる
ように命じた。

騒ぎを聞いてナガタ重工へと駆けつけた本物の銭形の前に、
マキが出てくる。ロボット兵ラムダの腕には、偽ルパンたち。

すべてが終わった。




本物のルパンはすでにその場を立ち去っていた。

朝日の中、FIAT500とバイクが疾走している。
乗っているのはルパン、次元、五右ェ門、不二子。

彼らがどこに行くのか、誰も知らない。



■見どころ■ この回は見ればわかると思うのだが、あまり新ルらしくない。 同じく重いテーマの「アルバトロス」が、新ルっぽくドタバタ 劇によって湿っぽい空気を払拭したのに対して、この回は始終 シリアスそのもので、どことなく重い。 しかしそれだけにワンシーンごとに妙に脳裏に焼きついて、 見終わった後にとてつもない余韻として残る。 また、ルパンらしくないといえば、本物のルパンが実際に赤ジャ ケに身を包んでいるシーンがとても少ない点、あくまでもワル サーを使おうとしない点などが挙げられる。 これは宮崎駿が手をかけたエピソード全体に言える特徴であり、 宮崎駿がルパンをどう捉えているか、どうあって欲しいのかを 窺い見ることのできる、興味深いポイントでもある。 しかし、やはり流石は宮崎ルパン。 細かく見ていっても、絵コンテがしっかりしているだけあって 動きも生き生きしていて繊細緻密。 言うまでもなく宮崎ルパンは表情が豊かだが、この回のルパン の表情はいつもより大人っぽいという点にもドキドキしてしまう。 ラムダのハッチを開けてマキを助けるシーンのルパンの顔に惚れ、 「仮装行列は幕にしようぜ」の凄みのあるルパンの表情に惚れ、 「何人殺した!」もルパンの台詞だったのかと思うと胸が 高鳴り・・・ 最終回というものは空虚で淋しい気持ちにさせられるものだが、 これも例外ではなく、初めて観たときは 「え!?これで終わり!?」 という喪失感が拭えなかった。 ・・・否。喪失感というより違和感に近いものだったのかもしれ ない。 むしろ「これは終わりじゃない」「ルパンに終わりはない」と 改めて感じたくらいだった。 なぜだろうという疑問に対し、近年ようやく答えらしきものが 見つかった。ラストで、ルパン一行が望む視線の先に太陽が昇り 始めるシーンがある。 ここがポイントだったのだ。 宮崎氏はこの作品でアニメの「ルパン三世」に終止符を打った つもりなのだろう。だが、夕日ではなく「始まり」の象徴である 朝日に、間違いなくルパンの新しい出発点を見た気がした。 日はまた昇る。ルパンもやはり、終わりはないのだ。 余談だがとっつぁん(に変装したルパン)のセリフにも注目。 「まるでスーパーマンだ!」とはちょっとしたお遊び。 と言うのも、ラムダの元ネタは「スーパーマン」のメカニカル モンスターらしい。(間違ってもあの某アジアの超ハイテク ロボット「先行者」がモデルではない/笑) 相変わらず設定や背景、細かいディティールに至るまで凝って いる描画は何度見ても興味が尽きることはない。
■データ■ <放送日>  1980年10月6日放送 <スタッフ>  脚本/照樹務  絵コンテ/照樹務  演出/照樹務  作画監督/北原健雄、丹内司 <キャスト>  島本須美、上田敏也、大宮悌二、長堀芳夫、佐々岡繁蔵、  広瀬正志、山本敏之
■プチ用語■ ラムダ  小山田博士が開発した人型ロボット兵。内部に人間が入って  操縦する。国防省が正式採用したばかりの兵器。  モデルは、アメリカのフライシャーが作ったアニメ「スー  パーマン」のメカニカルモンスター。  容姿は「天空の城ラピュタ」に登場するロボット兵によく  似ている。コックピットのハッチが異常に小さいのはテス  ト機のためらしい。 シグマ  軍事用に開発用の戦闘型ロボット。  最後にマキに、ナガタ重工を自爆するようプログラミング  された。 ナガタ重工  永田重工。国防省の極秘開発事業を引き受け、小山田博士に  ロボット兵の開発資金の支援を持ちかける。マキを利用し、  殺人兵器としてのロボット兵を世界にアピールしようとした。 74式改戦車  ラムダを制止するために用意された戦車。  街で砲弾を放ち、民間人がパニックに陥った。 JV-003H  ラムダを追跡するヘリ キャリア・モービル  ラムダの輸送、補給を行うトレーラー


SEO [PR] おまとめローン 冷え性対策 坂本龍馬 動画掲示板 レンタルサーバー SEO